みなさんは薬剤師として転職を考える場合、自分に今の年齢を考えて不安に思うことはありませんか。
- 「35歳を過ぎたら転職は厳しいと聞いた」
- 「40代の転職ってうまくいくんだろうか」
- 「50代でも応募可能な求人はあるんだろうか」
この記事ではそんな不安や悩みを解決すべく、チェーン薬局のエリアでの採用担当者をしていた経験をもとに記事をまとめています。
- 転職をしたいが若過ぎてスキル不足が不安な人
- 30代での転職で注意することを知りたい人
- 40代で求められる薬剤師像を知りたい人
- 50代以降でも可能な転職先を知りたい人
- 各年代で転職活動の攻略法には違いがある
- 30代の転職
- 40代に転職
- 50代、60代以降の転職
年齢によって採用担当の方が見るポイントの違いがわかりました。
エリアや業種によっても少しずつ違いがあるんですね。

各年代ごとの年齢が転職活動に与える影響
一般的に転職の分野では35歳までが一つのボーダーラインとなり、それ以降は転職成功の確率が低くなると言われています。採用する企業側からすると、体力的にも伸び代としても期待できる若い人材になるべく長く働いてもらいたいと思う心理が働くからであり、至極当然のことだと思います。
しかしながら、薬剤師も該当する専門・技術職に限って言えば、40代以降の転職も戦略を持って取り組むことで、成功を掴むことが十分に可能です。
私が過去に面接官として様々な方の面接に立ち会って来た経験を踏まえながら、年代別に大まかな傾向を見ていきましょう。
20代の転職
20代の転職は、よっぽどのことがなければ転職先に困ることはありません。
最も長く働く可能性のある年代であり、特に大手の企業からはたくさんのオファーがあると思います。
ですので20代に限っては、過去に私が採用しなかった事例を取り上げたいと思います。
調剤薬局で薬剤師の募集を出したときの話。緊急性が高く、2ヶ月後くらいには管理薬剤師として勤務開始をしてもらえる人材を探していました。
20代男性からの応募がありお話を伺ったんですが、薬剤師2年目で、こちらの提示する額を大幅に超えた650万円の年収を希望してこられました。経験を伺うと調剤薬局で勤務薬剤師をしており、管理薬剤師経験はなし、過去に同年代でこの額の求人を見たことがあるのでこの額でお願いしますとのことでした。
経験の少なさからお断りをしようとしたんですが、なぜか自信があるようで、他に考えている勤務先もあるし同額の条件を出してくれる企業もありますよと言ってこられたので、私的には呆れて、ではそちらに決められたらいかがですかと最終的なお断りをさせていただきました。
20代の転職で注意すべきは
・薬剤師として駆け出しの数年では、経験を求められる場合、不十分なことがある。
・転職の動機がキャリア形成のためなど、前向きなものである。
・経験値の少なさを理解し、謙虚な態度で話をすることができる。過剰な年収を求めない。
と言ったことが挙げられます。
つまり、よっぽどのことがなければ転職活動で失敗することはありえないと言うことです。
30代の転職
30代の転職は大きく二つに分けられます。
・店舗の一般薬剤師として、最前線で頑張る場合
・管理薬剤師や、マネージャ職候補生として管理業務を頑張る場合
企業が募集する人材を見極め、自分がどちらのタイプであるかははっきりさせておく必要があります。
一般薬剤師として最前線で頑張る場合は、企業の求めるスキルや実績があることをアピールする必要があります。例えば調剤薬局への転職を希望する場合は、これまでのかかりつけ薬剤師の業務の実績のアピールなどができれば、基本的には薬局オーナー側は評価の対象となります。逆にかかりつけ薬剤師の業務の評価しない薬局は、今後の業界の展望の見通しが不十分な企業であることも考えられるので、求職者側から転職先の候補から外すと言ったことも考えなくてはならないかもしれません。
管理薬剤師やマネージャー職候補として頑張る場合は、店舗管理上の実績をアピールすると、採用する側も判断がしやすくなります。例えばスタッフへの教育研修の実績や、店舗在庫の管理の実績(デッドストックを削減した実績など)、シフト管理や労務管理の実績などが求められて来ます。
いずれにしても20代の頃とは違い、即戦力であることはほとんどの企業で求められてくるスキルです。教えてもらえないと投薬ができない、と言った状態では希望の年収での転職は難しくなってくるかもしれません。
40代の転職
40代の転職も大きく分けると30代の転職と変わりないのですが、少し内容に変化も出て来ます。
一般薬剤師として頑張る場合は、協調性が求められるケースが多いです。よくありがちなのは、前の職場ではこうしていた、今まではこういう仕事は事務スタッフがやっていたなど、過去の話を持ち出すスタッフは敬遠される傾向があります。やるべきことはこれまでの経験を生かして柔軟に対応するスキルが求められます。
管理職として採用される場合は、30代の頃よりもさらに高度な管理を総合的に期待されるケースが多くなります。具体的には薬の管理だけではなく、スタッフの労務管理、店舗の収益やコストなどお金の管理、取引先の業者や医療機関との調整業務など、店舗を総合的に管理することができれば、即戦力として希望の条件での転職を成功させやすくなります。
50代以降の転職
50代以降の転職は、個別のケースで内容が多岐にわたって来ます。
いずれにしても、40代の頃と比べると理想的な転職を叶えるためには苦戦する場面が増えてくるかもしれません。若さや体力での勝負は難しくなるので、これまでの経験やスキルをアピールできたり、最新の機器や医療トピックへの興味関心も持ち合わせていると、採用担当者も決断がしやすくなります。
都市部での採用が難しい場合は、地方や過疎地の調剤薬局やドラッグストアまで選択肢に入れると、展望が開けるかもしれません。
ドラッグストアへの転職
ブランクなどが理由で調剤経験や院内業務などに自信がない場合は、調剤に拘らずドラッグストアへの転職も視野に入れても良いかもしれません。
コロナ渦の患者減少、処方枚数の減少で病院や薬局が苦戦する中、ドラッグストアの業態は順調に売り上げを伸ばしています。
一般的にはドラッグストアは病院や調剤薬局に比べ年収が高いと言われていますが、ドラッグストアの調剤業務への進出やインバウンド事業など、変革の多い業界なので調剤とはまた別のスキルが求められて来ます。
地方や過疎地への転職
どうしても希望の年収の転職先が見つからない場合は、現状のままで諦めるしかないのでしょうか。
そう言った場合は引越しを伴うような、地方や過疎地まで検討の選択肢に入れてみるのはどうでしょうか。馴染みのない土地に飛び込むのは勇気のいることですが、競合がいないところで戦うのは、希望の条件を叶えるための手段としては有効です。
子育てが終わっている、独身など自分が身軽である場合はぜひ検討してみてください。
管理薬剤師で900万円なんて案件も時々出て来ますよ!
自分のスキルやキャリアを見直そう
年代別や地域別にいろいろなケースを見て来ましたが、薬剤師転職で大事なのは自身の「経験」「スキル」と「求める年収」のバランスです。
もしも転職活動が思うようにいかない場合は、求める年収が高すぎるなど、どこかのバランスがおかしくなっていないか担当エージェントとよく相談していきましょう。
最後に。
皆さんの転職活動が人生を好転させる実りあるものになるよう願っています!