薬剤師コラム

「辞められない」を考える

ねこちち

みなさんは薬剤師として転職を決めたのに、会社になかなか退職の意向を伝えられなくて困った経験がありませんか。

  • 上司が怖くどうしても言い出せない
  • 同僚にも秘密なので言い出しにくい
  • 逃げるようで後ろめたい
  • 退職の意向を称えたが留保される

この記事ではそんな退職に関する不安や悩みを解決すべく、今の仕事を「辞められない」について深掘りしていきます。

この記事を読んで欲しい薬剤師はこんな人
  • 仕事を「辞められない」の理由を確認をしたい人
  • 職業選択の自由がある事を再確認したい人
  • 理論的に辞められる事は分かるがそれでもなお、辞められない人
この記事に書かれている事
  • 「辞められない」のパターンは大きく分けて二つ
  • 民法の再確認、辞める事は可能だが特例もある
  • それでも尚、辞められない
  • 決断したのであれば退職を実行するべき
悩める人

上司や同僚に伝えるのは勇気が入りますが、転職エージェントから紹介のあった求人を決めるためにも、頑張って退職の意向を伝えます。


この記事を書いた人

【2022年度対応版】薬剤師転職、成功へのロードマップみなさんは薬剤師として転職する場合、特に初めての転職をする場合にはいろいろな不安や悩みがありますよね。「何から始めれば良いかわからない」「新たな業務を覚えるのが不安」「自分の強みがわからない」「転職エージェントへの登録がめんどくさいこの記事ではそんな不安や悩みを解決すべく、転職成功へのロードマップとして記事をまとめています。...

「辞められない」のパターンは大きく分けて二つ

皆さん自身、もしくは周りの方で今の仕事を辞めたいけど「辞められない」という話を聞いた事がありますでしょうか。仕事を「辞められない」というのはどういう事なのか考えてみましょう。

「辞められない」のパターンは大きく分けて二つです。

会社へ意思を伝えたが引き止められて「辞められない」

まず最初のパターンです。会社へ明確に意思を伝えたが辞められないパターンです。

例を出しますと上司からのこんな言葉です。

・「社内規定で退職日の半年前までに、退職の意思を申し出なければならない。すぐには辞められないよ。」

・「退職願だね、ではこれから本当に辞めるのかしっかり考えてみてね、預かっておくね

・「何か不満に思う事があるんだね、改善したいから教えて欲しい。まだまだ一緒にがんばろう

上司のこういった言葉でうやむやになり、遺留といった形で辞めたい仕事を辞められないといった状況です。現場で役割を持って頑張っている方の場合はやめてもらっては困ると思われるのは当然ですので、上司からこういった言葉が出てきてしまうこともあるようです。

職場の状況を考えて、「辞められない」

もう一つは今現在自分の担当している業務や、周りのスタッフの状況、辞めた後のトラブルや混乱のことを考えて、辞めたいけれども自己判断で「辞められない」と考えているケースです。

真面目で責任感が強く、仕事に対してプライドを持って臨むこと自体は問題ありませんが、これが転じて希望する退職ができないとなれば、キャリア形成にも影響を及ぼすかもしれません

【辞められない2つのパターン】
・意思を伝えたが辞めさせてもらえない
・自己判断で辞められない

民法の再確認、辞める事は可能だが特例もある

そもそもですが、労働者は自分の意思で自由に仕事を辞める「権利」が認められています。民法627条1項では、次のように規定しています。

「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。」

民法627条1項

解約の申し入れですが、「退職届」の提出と誤解されている方もいますが、「退職願」もその効力を発します。このように民法でも明確に退職の自由を認めています。

社内規定はどう考えるか

では社内規定に定められた期間はどう考えたら良いでしょうか。

例えば社内規定に「従業員が退職する場合は、3ヶ月前までに会社へ退職の申し出を行い、受理されなければならない。」との文言があったとします。民法と照らし合わせると、この規定はあくまで会社からのお願いといった捉え方でいいと考えています。

会社との関係の中で、お世話になった方への挨拶、業務の引き継ぎ、取引先への担当変更の連絡、常識的に考えると意思表示から2週間での退職は難しい事が多いと思われます。企業側も労働者側も気持ちよく手続きを進められるよう、妥協点を探っていく事はとても大事です。

しなしながら36協定が守られていないような劣悪な環境しか提供できない企業や、ハラスメント行為が横行している現場、などの場合には自己防衛のために、こういった民法の規定を知っておく事は大事です。

このように従業員は法律からも守られていますが、特例もあるので注意です。民法の記載にもありますが期間を決めて勤務をする場合には、この規定の例外事例となります。具体的には年俸制で働いている場合などは、退職届後2週間での退職は認められず、社内規定に準じるケースがあります

社内規定に退職までの期日が記載されている場合でも、民法に照らし合わせると2週間での退職が可能。

しかしながら雇用形態によっては社内規定を守らなければならない場合もある。

それでも尚、辞められない

理論的には分かっていても、それでもなお辞められないケースもあると思います。

例えばこんな状況です。

ある薬剤師が急な欠員による日中のハードワークに加えて、毎月何十時間も残業が発生し、それが常態化していたとします。しかしながら自分に業務を教えてくれてきた管理薬剤師の方が休日出勤なども引き受け、それ以上にハードワークをこなし、なんとか店舗が維持出来ている状態だったとします。

薬局オーナーは増員は考えると言いながらも、求人サイトに情報を載せたきり放置で応募者が来る気配が1年近くありません。

心身が疲弊してきています。プライベートの時間が削られ、子育てにも影響が出てきました。

客観的にみてどうでしょうか、この方はどういった判断をするべきでしょうか。

とるべき選択の可能性を2つ挙げてみます

選択肢1:辞めるべきではない

共に頑張ってきた管理薬剤師の方が自分以上に頑張っている。この状況で自分が辞めると言い出したら、この管理薬剤師はきっと重圧で潰れてしまう。

自分もきつい状況だが、なんとか周りで頑張っているスタッフのためにもう少し身を削って頑張ってみよう。

選択肢2:辞めるべき

薬局オーナーはこの状況を知っていながら放置している。劣悪な環境が改善される見込みはない。自身のできる範囲で努力し、増員の要請もしてきてそれが叶わないのであれば、何よりも自分自身と家族が優先されるべき。転職を考えるタイミングである。

例えばで挙げましたが、こういった状況というのはありがちな事ではないかと思います。その他の詳しい状況にもよりますが、大変難しい判断です。

選択肢1の辞めるべきではないに共感できた方は、責任感が強くなんとしてでも与えられた業務を遂行したい性格なんだと思います。通常の状況であれば、それはとてもいいことですが、劣悪な環境が続いたときに心身を壊さないよう注意が必要です。

選択肢2の辞めるべきに共感できた方は、転職を決断する前に、もう一度やれる事はないか冷静に考えてみましょう。状況が改善できないというのは自己判断だけではないか。全体で話し合いの機会が設けられないか。業務で困ったときの基本は一人で考えすぎない事です。悩みは共有し複数で考えていく事が問題点解決の近道です。

退職すべきかとどまるべきかのはんだんは難しい場合もある。適切な相談相手が必要。

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決断したのであれば退職を実行するべき

状況は人それそれで、自分と全く同じ状況の人はいません。

悩む期間も人それぞれで、決断した事が揺らいだり、決断までに時間がかかることもあるでしょう。

しかしながら自分は転職すべきと判断したのであれば、ぜひ実行してもらいたいと考えています。自分と家族の人生に責任が持てるのは自分自身です。どんなによくしてくれた会社の上司であれ同僚であれ、いつかはお別れがきます。

私たち労働者には職業選択の自由の権利があることをお忘れなく。

自分で難しければ、退職代行サービスの利用も武器の一つですよ。

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最後に。

あなたの転職が人生を好転させる実りあるものになりますように!

ABOUT ME
としき
四度の転職でやりがいも給与もどちらも諦めない選択をしてきました。大手チェーン薬局のエリアマネージャー として採用担当もしていた経験から、実際に現場で役立つ情報を発信していきます。