散々悩んだ挙句、ついに今の仕事を辞める決心をしたよ!とにかく早く新しい職場へ行きたい!
社内規定では退職の3ヶ月前までに申し出と記載があるし、早く退職届を出して、同時進行で転職活動を始めたいと思います!
人生を大きく左右する一大イベントの転職。最初のハードルである退職の決心が着いたのは素晴らしい前進だと思います。
しかしながら勢いで退職届を出すのにはリスクもあります。自分だけは大丈夫と思わず、ここは冷静になって不利な転職にならないよう順序を確認しておきましょう。
薬剤師が転職活動を始めるにあたって、必要な手続きや目安期間、また順番について確認していきます。
採用者側の視点で優秀な薬剤師を不採用にした経緯をお話しします。
退職後に転職活動を始めることや転職先が決まらないうちに退職届を出すことは、メリットに比べてデメリットが大きくなることを説明します。
・転職活動は手順を踏むことが重要なことがわかる
・収入が下がる転職を迫られるリスクを回避できる
・仕事ができる薬剤師ほど、罠に陥りやすいので注意が必要
「この記事を読めば転職の失敗を回避できそうです!」
王道の手順は「転職活動」→「内定」→「退職届」
結論から。
転職には王道の手順が存在します。
「転職活動」→「内定」→「退職届」です
もちろん状況によっては手順を守らなくてもうまくいく場合もありますが、物事には必ずリスクが付きまといます。
薬の副作用と同じです。薬剤師らしくリスクとベネフィットを理解して、自分の転職を最適化していきましょう。
急いで退職届を出したくなる理由
転職を決めたら退職届を出したくなる気持ち、分かります。新しい環境に身を投げることは、不安もありますが、キャリア形成の目標があればそれ以上に期待とワクワクに胸躍りますよね。
人間は楽しみなことができると、それまでの時間がすごく長く感じられて、時に気持ちを抑えられなくなる生き物なんです。
好きな恋人との週末のデートが待ちきれないのと同じです。
デートを待ちきれなくてLINEしちゃうのは微笑ましいですが、転職に限って言えばフライングは大きなリスクもありますので注意していきましょう。
仕事のできる薬剤師ほど罠にハマる
急いで退職届を出す罠にハマるのは、これまでの経験上、仕事がよくできる薬剤師に多くみられます。
患者対応は誰よりも上手、同期と比べて知識量に秀でいる、薬学的なことだけではなく経営的なことも理解できている、ノルマ等に対しての社内での成績も優秀。
そんな人に限って転職先が決まらないうちに、退職届を出してしまいます。
少し理解できる気もします。
仕事での成績が優秀で仕事に対しても熱意がある、どんな企業でも自分のような人材は欲しいはずだ。
そう考えてしまうんだと思います。実はここに罠があります。
転職の成功は自分の実力だけでは達成できない
優秀で熱意のある人材が欲しいのはどの企業でも同じですが、タイミングによっては求めている人材ではない場合もあります。
私の経験した過去の事例を挙げて、具体的に説明していきます。
優秀な薬剤師を不採用にせざるを得なかった経験
当時私がエリアマネージャーとして担当していた薬局で欠員が出て、一般薬剤師もしくはパート薬剤師の求人を出したときのことです。
面接にやってきた男性薬剤師は30代前半で、爽やかな風貌と謙虚な態度だけではなく、店舗の計数管理まで理解しているとても優秀と思える人材でした。患者対応を問題なく出来る上に薬局の収益構造まで理解できている方は同年代では比較的希少な人材です。
正直、面接官としては是非この人と一緒に仕事をしたいと思える人材でしたが、本部とも協議の結果、最終的には採用をお断りさせていただきました。
不採用に至った理由は以下のとおりです。
・出していた求人は一般薬剤師もしくはパート薬剤師であった
・担当していたエリアの各店には経験の長い管理薬剤師がおり、店舗管理者の募集はしていない状態だった。
・エリア外での店舗管理者を本人に打診したが、地域限定ので応募であった。
マッチングはタイミングも重要要素
この経験から学んだことは、転職というマッチング作業には実力の他にもタイミングも重要な要素であるということです。優秀であれば必ず採用されるという保証はありません。
極端な話をすれば、どんなに優秀な人材でも求人がなければ転職は叶わないのです。
逆を言えばタイミングが合えば、実力以上の評価で転職を実現することも可能となってきます。
よくある例としては急な欠員の補充が必要な場合の求人であれば、相場より高い給与での求人募集がかかるケースがあります。そういった求人は往々にしてすぐに応募者が見つかって、採用決定までの時間も短いため、本人の実力よりも運やタイミングの要素が重要になってきます。
実際の転職の流れと目安期間
では実際に、円満退職と収入アップを達成するためにはどんな順番と準備期間が必要かを見ていきましょう。
自己分析・情報収集(1週間〜2ヶ月)
自己分析と情報収集ですが、転職を決断していなくても始めて問題ありません。
先にも述べましたが運やタイミングで、実力以上の評価での転職を実現するケースがあるからです。
「転職もありかもな」くらいも気持ちの時から転職支援の会社への登録や、情報収集を始めて構いません。
この段階で発生する一番のリスクは、転職の可能性が会社側にばれて待遇が悪くなってしまうことです。
常識的なことですが、転職活動に使うメールアドレスなどは、会社から貸与されたものではなく自身で用意したものを使うようにしましょう。
転職先の採用担当者にも公私混同をする人だと悪い印象がついてしまいます。
資料をデスクの上に置きっぱなしにするなどはもちろん論外です。
転職活動に使うメールアドレスは自分で用意する。社内用のものは使わない。
書類作成・応募(1週間〜2週間)
書類作成の段階で気を付けることは、最新の情報を記載するということです。写真などは最新のものを用意するようにしましょう。
また管理薬剤師以上(エリアマネージャーなど)の役職への求人の応募の場合には、履歴書の他に職務経歴書の添付があると実績をアピールしやすくなります。
「○○をがんばった」のような抽象的なことではなく、「かかりつけ薬剤師の業務で○○件実績を上げた」「デッドストックを○○だけ削減できた」など具体的な数値とともに実績をアピールすると面接官にも好印象で、他の応募者と差別化が図れます。
職務経歴書は数値を交えて実績をアピール
面接対策・面接を受ける(1週間〜4週間)
コロナ渦の影響で面接の形態も多様化してきています。
オンライン面談での対応をされる企業も少しずつ見受けられるようにって来ました。無理をする必要はありませんが可能であればオンラインでの対応にも応じられれば、ある程度のITスキルを有していることを自然にアピールできます。
担当のエージェントとも相談しながら最良の策を練ってください。
コンサルタント会社によっては最終面談には立ち会われるところもあります。
自分一人での面談突破力に自信のない方は、最初からそう言った会社を選んで面接に臨むのも一つの手段です。

内定→退職届・担当業務引継ぎ・取引先等への挨拶
スムーズに事が運べば通常は1週間程度で合否の判定をもらえます。
無事内定を確認できたところでいよいよ退職の手続きに入ります。状況によっては内定をもらうよりも退職の手続きの方がハードルを高く感じる方もおられるかもしれません。
知らない人には意外に感じられるかもしれませんが、コンサルタント会社によっては転職手続きの相談まで乗ってもらえる場合があります。困った場合には何でも相談できる担当者に巡り合えることが転職を成功させるカギになってきます。
複数のコンサルタント会社に登録して、自分と相性の良い担当者を見つけることをお勧めします。
無事に退職届を受理してもらえたら、その後は業務引継ぎや取引先へのあいさつもきちんと行いましょう。
狭い業界です。立つ鳥跡を濁さずといった姿勢が将来に影響することも良くあります。誰がどことつながっているかは完全には予見できないからです。
失敗の原因の多くは「退職届」の見切り発車
まとめです。
この記事では手順を守る重要性を説明してきました。
重要なことは転職の成功は自身の能力だけに依存しないということです。
運やタイミングも大きなファクターとなってきます。
スキルが高い薬剤師ほど罠にハマりやすい
つい油断して手順を飛ばして退職手続きと転職活動をしてしまうのは、スキルの高い薬剤師ほど多く見られます。逆に自信のない薬剤師ほど内定を確実なものにしてから退職手続きに入ります。
手順を守れば望まない収入減少は必ず回避できる
手順さえ守れば年収の下がるような望まない転職は100%回避可能です。
また転職を迷っているうちから活動を始めることは思いがけず条件のいい求人に出会うきっかけにもなり得ます。
転職は決断前のそろそろかな、と言ったタイミングで初めても十分メリットがあると言えそうです。
最後に。
あなたの転職が人生を好転させる実りあるものになりますように。