薬剤師コラム

【速報版】実際にリフィル処方箋を応需した経験を共有

悩める人

ねこちちさんの薬局で実際にリフィル処方箋を応需したと聞きました。

実際のところどうだったのか、感想など聞きたいです。

この記事はこんな悩みを解決します。

私ねこちちの勤務する薬局で、実際にリフィル処方箋を応需しましたので、実際の対応や感想、応需に至った経緯を【速報版】として説明します。



この記事に書かれていること

・令和4年4月より、リフィル処方箋の制度が始まりました

・リフィル処方箋応需に至った経緯

・実際の対応

・リフィル処方箋応需後の処方箋の保管管理

この記事の結論

リフィル処方箋にはまだまだ課題が多い

悩める人

私の薬局でもリフィル処方箋がいつ来るか分からないので、いつきてもいいように備えて、薬剤師の職能を発揮出来るようにします!


リフィル処方箋とは

まずはリフィル処方箋とは何かの説明です。

現場の薬剤師の方で理解されてる方は呼び飛ばしてもらって結構です。

リフィル処方箋の取り扱いの詳細は別記事でまとめますので、ここでは簡易的に紹介することとします。

■基本的な考え方

症状が安定している患者に限り、医師の判断で医師及び薬剤師の連携のもと、期間内に3回を上限として繰り返し利用できるリフィル処方箋を発行することができるようになった。2回目以降は患者は病院での診察を受けることなく薬剤の交付を受けることが可能となる。

■リフィル処方箋で対応できない医薬品

向精神薬や新薬、湿布薬など処方量に制限のある薬はリフィル処方箋による処方はできない。

■処方箋の保管管理

処方箋原本を上限3回まで繰り返し使用するため、今までの通常の処方箋とは保管管理方法が変わる。

海外では一般的な制度がやっと日本でも解禁

このリフィル処方箋ですが、海外では一般的な国が多く、日本でも数年前から導入の議論が進んでいました。今回令和4年4月の診療報酬の改定で満を辞して、制度が解禁されたものとなります。

導入の目的はなんと言っても増加の一途を辿る医療費の削減のため。

患者は病院受診の行程を飛ばして、薬剤の交付を受けることができるので、症状の安定している患者さんから見るとメリットは大きいと言えそうです

一方、医師の立場からは数ヶ月患者の診察ができないことも想定されるため、その間の状態変化などに対して誰がどう責任を取るのか心配と言った懸念の声が上がることも多いです。

実際に医師会の会長なども公のコメントでリフィル処方箋に否定的な意見を述べられています。

長期処方や分割調剤との違い

そもそもですが、これまでの制度の中でも医薬品の長期処方や分割調剤が認められており、違いが直感的にわかりにくく混乱を招きやすくなっています。

分割調剤は、薬局において長期保存が困難な薬や、後発医薬品を初めて使用する場合、または服薬管理が難しい等の理由で医師の指示によって、処方された日数を短く分けて調剤することが可能な制度です。
長期保存が困難な薬や、後発医薬品を初めて使用する場合は特に医師へ報告義務はありませんが医師の指示による分割調剤では、2回目以降の調剤時は患者さんの服薬状況を処方医に報告する義務が発生します。

しかしながら業務の煩雑さなどの理由から、現場ではほとんど浸透しておらず、利用の状況は一定数で伸び悩んでいる制度です。

処方箋応需に至った経緯

今回私の薬局で処方箋を応需した経緯をお話しします。

メインとなる応需先は基本的にはリフィル処方箋の発行はしない予定の病院でした。理由は医局医師たちの反対です。

受診なしで薬だけをもらい続けることは、現状の制度では十分なフォローアップが担保できないとの考えが多数派だったのです。

患者さんは82歳男性、高血圧などの慢性疾患

今回処方に至ったのは、既往歴が高血圧など慢性疾患の82歳男性でした。

診察時にリフィル処方箋の制度の利用を希望され、一度は主治医もリフィル処方箋の発行はお断りしたそうですが、患者の強い要望があり、主治医が折れる形で上限を2回としてリフィル処方箋が発行されました。

実際には

降圧剤 60日分 リフィル可(2回)

といった内容の処方でした。

リフィル処方箋発行に至った経緯はテレビ番組

病院では積極的にアナウンスしていなかったリフィル処方箋ですが、この患者さんはテレビ番組を通じて、その存在を知ったそうで、自分もぜひ利用したいと強く思われたっとのことです。

ニュース解説でお馴染み「池○ ○」さんが司会のあの番組ですね笑

気になる実際の対応は

前触れなく発行されたリフィル処方箋でしたので、薬局スタッフとしては戸惑いましたがレセコンも薬歴システムも対応はしていましたので、多少お待たせはしましたが受付自体は可能でした。

リフィル処方箋の取り扱いに注意点(患者側)

リフィル処方箋の取り扱いの注意点の抜粋です。

まずは患者側の注意点から。

・リフィル処方箋の破損や紛失に注意(もちろん改ざんなど論外)

期限を忘れない(予定日の前後1週間が薬を受け取れる日程)

同じ薬局へ行く(他薬局へ行く場合は申告を忘れないこと)

調剤薬局でのリフィル処方箋の取り扱いの注意点

薬局側の注意点です。

・リフィル処方箋に次回の来局予定日を書く

・処方箋の複写を取り保管管理する(原本は患者さんへ渡す)

・リフィルの回数が上限に達したものは原本を回収

・来局予定日に患者が来ない場合は電話連絡し状況を確認

リフィル処方箋には課題が多い

今回リフィル処方箋を応需してみて、店舗スタッフでもミーティングを開きましたが、まだまだ不明点や課題も多く残した制度です。

周知の問題

一般の方はもとより、医療従事者でも制度の概要を完全に理解できていない問題があります。

特に近年ではコロナ渦の影響で、医療現場でも以前のような集まっての勉強会の開催などが軒並み中止になっており、制度の周知が不十分です。

また、一部メディアの誤解を招く報道もあっており、ひどい場合には「おかわり処方箋」などとキャッチーな見出しを掲げ、受診の必要はなく薬だけもらえると言った部分だけが切り取られ、一人歩きしている状況も見て取れます

病院へのインセンティブがない

病院へのインセンティブがないことも制度の周知や浸透を阻む原因となっています。ただでさえコロナ渦による受診控などで収益減となっている病院も多い中、リフィル処方箋が導入されると、その分病院は外来患者減となり、収益に結びつかない制度となっています。

処方箋の発行元である医師や病院側のメリットをどのように確保・説明していくかも調剤薬局側に求められる役割となってきます。

以上、リフィル処方箋を応需した経緯の速報版の記事でした。

ABOUT ME
としき
四度の転職でやりがいも給与もどちらも諦めない選択をしてきました。大手チェーン薬局のエリアマネージャー として採用担当もしていた経験から、実際に現場で役立つ情報を発信していきます。